標高709メートル。茨城県南、筑波・足尾・石切山脈の中では筑波山に次いで高い。 修験道と天狗で知られる信仰の山で、夏の加波山禅定祭では、現在でも 全国より多くの修験者が集まり山中での荒行が行われる。 また、明治初期の自由民権運動では、有名な加波山事件の舞台ともなった。
加波山には、加波山神社(もと加波山天中宮(てんちゅうぐう)) ・加波山三枝祇(さえなずみ)神社本宮(もと加波山本宮) ・加波山三枝祇神社親宮(もと加波山新宮)の3つの神社が座し、 総じて加波山大権現と称していた時代もある。 山中にはこれら3社の本殿と拝殿があるほか、多数の境内社、 修験者・参拝者の宿泊施設などが点在し、 山麓にも拝殿が3所(真壁側に2、八郷側に1)設けられている。 現在では「加波山神社」と「加波山三枝祇神社」の2社により管理がなされており、 行事などは独立に執り行われている。
長さ2.5メートル、重さ60キログラムの大キセルを、 山上の拝殿から本殿にかつぎ上げる奇祭。毎年9月5日に行われる(10時半頃山上拝殿にて神事を開始、本殿にかつぎ上げるのは11時過ぎ)。 行事を司っているのは加波山神社。 問い合わせは真壁観光協会(0296-55-1111)まで。
なおIbarakiken netに、ビデオ・オン・デマンドで紹介されています。
加波山三枝祇神社真壁側山麓拝殿にて冬至に行われる行事で、善男善女が裸足で火を踏みわたります。 昼1時前から1時間ほど。問い合わせは加波山三枝祇神社(0296-55-1012)まで。
修験道の禅定が今に伝えられている。8月1日から10日過ぎ頃まで。 白衣の修行者達により、山頂域に700カ所以上もある霊場を巡る。 申し込めば誰でも参加可能とか。 かつての盛況はなくなったが、週末ともなると今でも修行者の姿を見かけます。 写真は、石碑ごとに修験者が立てていった白幣。
茅の輪を三度くぐって一年の無病息災を祈る。毎年6月28日に行われる行事です。 加波山神社真壁側山麓拝殿では、茅の輪くぐりの前(朝11時頃)に居合高段者による神事があるのが見物(「茨城の神事」他)。 なお三枝祇神社もこの日が茅の輪祭です。
日程が近年変わったものが多いらしく、資料による行事や日付の混乱がはなはだしい。 どちらが正しいのかは判然しない点もあるので、念のため書いておく。
禅定祭も行われているはずです。8月1日より8月中頃まで。
丸山から加波山神社拝殿までの、いわゆる禅定道に沿って点在する社殿や遺物を紹介します。 丸山山頂までの階段(560段)を除くと、高低差のほとんどないハイキングコースで、 関東ふれあいの道の一部でもあります。 速ければ往復でも60分ほどです。 このあたりは夏の加波山禅定の舞台でもある信仰の中心地であり、 数十メートルおきに石碑や社などを見ることができます。
丸山までは、車であがることができます。 上曽峠からきのこ山・足尾山・一本杉峠・丸山・加波山頂北側より板敷峠の岩瀬側に至る 10km程の林道(北筑波稜線林道)が利用可能で、 舗装も比較的しっかりしており不安なく通行できます。 林道の両側は、真壁・八郷方面とも広い展望が楽しめますが、 このあたりはハンググライダーの名所でもあるため車の通行はそこそこにあり、 すれ違いが多いので注意。 いずれにせよ山中の道であり、落石、崩壊、倒木の危険は常にあるので、悪天候や その直後に立ち入るべきではないでしょう。
なお林道中、丸山・板敷の途中から、 加波山神社拝殿前まで上がる未舗装路もあり、一般にはこちらもよく紹介されています。 星見の名所としても知られているようです。5台くらいは駐車可能。
丸山山頂直下の「自由の楷」碑。自由民権運動を記念したもの。脇の駐車場には5台程度停められます。
旗立石。加波山事件の遺跡。
丸山から先は、数十メートルおきに、石碑、社、御幣、注連縄が現れる。 曰くのありそうな奇岩巨石も多い。
加波山三枝祗神社本宮拝殿。禅定祭の期間に撮影したもの。 左手の建物は、宿泊施設。夏は加波山禅定で開かれている(8月1日〜10日過ぎ頃まで)。
加波山三枝祗神社本宮本殿(もと加波山本宮)。 熊野から勧請したもの。 このあたりが加波山の最高峰。
加波山神社本殿(もと加波山天中宮)。 言い伝えでは創建はヤマトタケルの東征に遡るとも言われ、 坂上田村麻呂も戦勝を祈願したという、由緒のある神社。
秋・冬は、ここからの眺望は大きい。
加波山神社本殿脇の魁石(さきがけいし)。「自由之魁」と彫られている。加波山事件の遺跡。
たばこ神社本殿。たばこ生産農家の崇敬篤い。きせる祭りの舞台。
加波山三枝祗神社親宮本殿(もと加波山新宮)。 これも熊野から勧請したもの。 この写真は1997年以前のものですが、最近新築されました。
加波山神社拝殿。左奥に見える宿泊施設には、16時頃までは人がいる。 ユースホステル加波山荘としての利用もされている、立派な施設です。 すぐそばに、板敷方面からの林道の駐車場があり、20台程度とめられます。
加波山三枝祗神社親宮拝殿。上記拝殿のすぐ脇にあります。
ここからさらに、真壁方面へ降りる道があり、これが元々の登山道です。 よく踏まれている道ですが、急ですべりやすく多少倒木もあり、 あまり歩きやすいとは言えません。 また、途中からは車道歩きとなります。山麓の拝殿まで登り下りとも60分ほど。
加波山神社の真壁側山麓拝殿(長岡拝殿)。加波山神社の社務所もある。 ここが「たばこ神社」と紹介されていることも多い。
脇にあるたばこ神社資料館には、キセル祭りで登場するものとほぼ同じ大キセルが展示されている。 展示時間は9:30〜14:00。
加波山三枝祗神社本宮・親宮の真壁側山麓拝殿。社務所もここ。 場所は上記加波山神社拝殿より100メートルほど下。火渡り祭はここで行われる。
加波山神社の八郷側山麓拝殿(大塚拝殿)。旧道沿い、公民館の脇にあります。 拝殿としては長岡拝殿よりこちらの方が古い。