柿岡のじゃかもこじゃん

場所：

茨城県　石岡市（旧新治郡八郷町）　柿岡　八幡神社

写真説明：

１９９７年の太々神楽にて、猿田彦の舞。

年中行事：

• 旧８月１４〜１５日 19:00-22:00：八幡神社の太々神楽（十二座神楽）

註：

かつては９時より行われていたようだが、現在は７時からである。最近の資料も含め、流布している日程情報は現況を反映していないものが多いので注意。また、現状では２日に渡って行われるが、大半の資料は１５日のみ紹介している。

紹介：

中秋の名月の日に奉納され、「柿岡のじゃかもこじゃん」として知られている。起源は西暦１６００年ころまで遡れるらしい。１４日は宵宮、１５日が本祭で、両日とも１９時より始めて、十二座が終わるのは２２時過ぎ。途中で２回（赤鬼と青鬼）餅撒きがある。「雨乞い神楽」と俗称されるほど雨に祟られることが多いが、日程がかわることはない。十二座の次第は、以下の通り。

翁（四方固め）、龍神、種稼、天狐、地法、赤鬼（餅まき）、西宮、天鈿女、天照皇大神、国固め、猿田彦、山の神（青鬼の餅まき）

これ以外に巫女舞が入る。

柿岡城まつり、柿岡の祇園祭で披露されることもある。

なお八郷町内には柿岡以外では根小屋のじゃかもこじゃんが残されているが、内容は異なる。

町指定無形民俗文化財。

資料：

太々神楽の次第（１９９８年現地調査）

• （祓い）　　　　　　　伶人・神子（稚児）におはらいをする
• 「神子国堅」　　　　　男性４名による神子舞のもどき
• 「神子幣之舞」　　　　神子４名が幣を手に舞う
• 「老翁」　　　　　　　翁が長刀で四方固めをする
• 「天狐・種稼」　　　　狐ほかによる種蒔きの所作
• 「龍神舞」　　　　　　龍神が幣を振り回して舞う
• 「神子榊之舞」　　　　神子４名が榊を手に舞う
• 「赤鬼・地法」　　　　赤鬼と地法の掛け合い、地法が弓で赤鬼を追い払う。餅まきがある
• 「神酒之舞」　　　　　神酒を手に静かに舞う
• 「西の宮大神・鈿女」　西宮大神（恵比寿）が釣りの所作、途中で鈿女（おかめ）が現れる
• 「神子扇之舞」　　　　神子４名が扇を手に舞う
• 「岩戸」　　　　　　　静かな舞
• 「天照皇大神・戸隠」　天照大神登場、岩戸開きの神話が展開される
• 「猿田彦」　　　　　　猿田彦による長刀の舞
• 「山の神」　　　　　　青鬼による餅まき

資料：

神楽の曲目を整理してみました。アルファベット曲名は高橋が適当に付けたもの。

• (祓い)　　　　　　旋律Ｉ、［祓い］、旋律Ｉ
• 神子国堅　　　　　旋律Ｉ、旋律Ａ
• 神子幣之舞　　　　旋律Ｂ
• 老翁　　　　　　　（序奏Ｃ）、旋律Ｃ、旋律Ｂ、（序奏Ｃ）
• 天狐種稼
• 天狐　　　　　（序奏Ｅ）、旋律Ｄ、（序奏Ｅ）
• 天狐種稼　　　旋律Ｆ、旋律Ｆ
• 天狐　　　　　旋律Ｅ、（序奏Ｃ）、（序奏Ｅ）
• 龍神舞　　　　　　（序奏Ｃ）、旋律Ｂ、（序奏Ｃ）
• 神子榊之舞　　　　旋律Ｆ
• 赤鬼地法
• 餅撒き　　　　（序奏Ｅ）、旋律Ｃ変奏／旋律Ｅ
• 地法　　　　　（序奏Ｃ）、旋律Ｂ、（序奏Ｃ）
• (休息)
• 神酒之舞　　　　　（序奏Ｃ）、旋律Ｆ、（序奏Ｃ）
• 西の宮大神・鈿女
• 西の宮大神　　旋律Ｆ
• 鈿女　　　　　旋律Ｇ
• 神子扇之舞　　　　旋律Ａ
• 岩戸　　　　　　　（序奏Ｃ）、旋律Ｆ、（序奏Ｃ）
• 天照皇大神・戸隠
• 天照皇大神　　（序奏Ｃ）、旋律Ｆ
• 岩戸開き　　　（序奏Ｅ）、旋律Ｅ／旋律Ｈ、（序奏Ｃ）
• 戸隠　　　　　（序奏Ｅ）、旋律Ｄ、（序奏Ｅ）
• 猿田彦　　　　　　旋律Ｃ、旋律Ｂ、（序奏Ｃ）
• 山の神
• 山の神　　　　（序奏Ｅ）、旋律Ｄ
• 餅撒き　　　　旋律Ｅ
• (終了)　　　　　　旋律Ｉ

サウンド：

• 旋律Ａ：「おかぐらびょうし」
• 旋律Ｂ：「みこまい」
• 旋律Ｃ：「じゃかもこじゃん」
• 旋律Ｄ：「はやみこ」
• 旋律Ｅ：「らんびょうし」
• 旋律Ｆ：「しょうでん」
• 旋律Ｇ：「ちゅうみこ」
• 旋律Ｈ：「（不詳）」
• 旋律Ｉ：「おかぐら」

※ひょっとすると曲名が入れ違ってしまっているかもしれません．「じゃかもこじゃん」，「しょうでん」，「らんびょうし」は間違いないと思います．

資料：

上記各サウンドについて覚え書き。整理中。

• １９９７年録音：
  • 「猿田彦」より、
    • １曲目（旋律Ｃ）、静かな曲 (u-law, 170KB)
    • ２曲目（旋律Ｂ）、猿田彦が剣舞をするゆったりした曲 (u-law, 170KB)
  • 「山の神」より、
    • １曲目（旋律Ｄ）、軽快な曲 (u-law, 170KB)
    • ２曲目（旋律Ｅ）、太鼓のリズムが歯切れよい、餅撒きで奏される (u-law, 210KB)
• １９９８年録音：
  • 「西の宮大神・鈿女」より、
    • ２曲目（旋律Ｇ）、鈿女の舞い (u-law, 200KB)
  • 「神子扇之舞」より、
    • 神子舞の曲（旋律Ａ）、太鼓が歯切れよい (u-law, 210KB)
  • 「天照皇大神・戸隠」より、
    • １曲目（旋律Ｆ）、天照皇大神の登場 (u-law, 210KB)
    • ２曲目（旋律Ｈ）、岩戸開きの緊迫した場面 (u-law, 210KB)

開催履歴：

• 2020年10月1日(木)19〜22時（旧暦8月15日）
  • コロナ禍のためか、一日だけの催行となった。神楽面だけで衣装はなしの簡易なものながら、神子舞以外は省略せず舞われたようである。観客は伶人（舞人）と関係者含めて20人ほどか。幟、露店なし。前日当日とも現地確認。
• 2017年10月3日(火)〜4日(水)（旧暦8月14日〜15日）
  • 3日に訪問。露店は9件、22時には一部店じまいを始めていたようだが、神楽自体は23時過ぎに終了。
• ２００７年９月２４日（月・祝）〜２５日（日）（旧暦８月１４日〜１５日）
  • ２４日に訪問。露店は１０軒以上。パンフレットの配布あり。雲間に月の見える良い夜であった。
• ２００５年９月１７日（土）〜１８日（日）（旧暦８月１４日〜１５日）
  • １８日に訪問。この年はたまたま、石岡のおまつりと同日程であった。好天に恵まれた。
• ２００３年９月１０日（水）〜１１日（木）
  • １１日に訪問。露店１３軒ほど。
• ２００２年９月２０日（金）〜２１日（土）
  • （２１日早朝現地確認）
• ２００１年９月３０日（日）〜１０月１日（月）
  • １日訪問。雨の中、最後まで子供多数の観客でごった返した。露店１６件。
  • 19:00 頃開始、22:50 終了。「天狐種稼」を省略。
• ２０００年９月１１日（月）〜１２日（火）
  • １２日訪問。２２時５０頃終了。初日は雨だったが二日目は晴れて人出多し。
• １９９９年１０月２３日（木）〜２４日（金）
  • ２４日に訪問。19:00-22:30
  • 晴れて人出も多し。露店１５軒強。
  • 餅まきは２０時半、２２時頃。
  • 次第は例年と同じ、ただし地法なし、お祓いは１９時前。
• １９９８年１０月５日（日）〜６日（月）
  • ５日に訪問。19:00-23:00 と４時間にわたった。
  • 晴れたため人出も多かった。露店１６軒。
  • 餅まきは２１時頃の赤鬼と２３時頃の山の神で、ここの餅まきは気前が良い。
• １９９７年９月１７日（火）２１時過ぎに訪問。露店８軒。からくり人形は確認できず。
  • 地元の方によると数百年の歴史があり、戦時中も含めて途絶えたことがない、とのこと。
  • １９時よりはじまり２２時過ぎに終了。雨であったが人出は多かった。

参考ページ：

• 八郷町（旧８月１５日と記載）
• 茨城県庁ウェブページ（１９９８年日程、１０月５日と記載） [註]
• つくばＰＩＡＺＺＡ（旧８月１５日と記載）
• ふるさとネットワーク

参考文献：

• Monthlyいーじーぷれす２０００年９月号（日程情報）
• 八郷の文化財
• フラワーパーク頂上の観光案内看板（旧暦８月１５日十五夜、と記載）
• 西光院前の観光案内看板
• ささ日本百名祭へ−関東版−（旧暦８月１５日９時より、と記載）
• 祭礼行事・茨城県「旧暦８月１４〜１５日、神楽は両日とも午後９時〜深夜」「太々神楽：中秋の名月の日」（編集に混乱か）
• 茨城の神事「旧暦８月１４〜１５日、神楽は両日とも宵〜深夜」
• 茨城の民俗芸能
• 八郷町観光案内パンフレット
• 茨城県の歴史
• 柿岡市街の案内図

編集担当者：

高橋 takahashi@tradevents.org

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